桑名の夏が帰ってきた——老舗「マルマン」のアイスまんじゅう、受け継がれた火

桑名 アイス饅頭「マルマン」

朝9時、暖簾が上がるや否や行列ができる。狙いはただ一つ——”桑名の夏の風物詩”「マルマンのアイスまんじゅう」。昨年9月に惜しまれながらも幕を下ろした老舗が、内外装を新たにこの夏再び開店した。看板商品である「アイスまんじゅう」は開店から1時間、10時には完売する日もしばしば。引き継いだのは地元・桑名出身の水谷ご夫妻だ。
前オーナーの橋本一実さん(奥さまは満寿子さん)ご夫妻は、お店を譲らずに閉めるつもりでいたが、水谷ご夫妻(現オーナー)との話を重ね数か月、特別に譲っていただき、見事復活を遂げた。小さな頃からアイスまんじゅうで育ち、幼き頃の思い出を、どうにかして桑名に残したいという強い気持ちがあり、地元の方を思う気持ちもあり、橋本さんには沢山のお時間を頂いた末に復活を遂げた。味もレシピも、袋も割り箸も——すべてそのまま継承している。

老舗『マルマン』復活のタイムライン

  • 創業:今年で79年目(2025年)
  • 閉店:2024年9月
  • プレオープン:2025年8月1〜3日(石取祭に合わせて、告知なしで”ひっそり”実施)
  • グランドオープン:2025年8月8日

店頭には胡蝶蘭がずらりと並んでいた。中には前オーナーである橋本ご夫妻からの胡蝶蘭も。店内には、お店の象徴である釜をはじめ、受け継がれた製造道具たち。外観は美容室と見まがうほど洗練されたが、お店の軸となる味わいは一切変えない——それが新生マルマンの再出発の合言葉だ。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

リニューアル復活した「マルマン」

以下の写真はリニューアル前の店舗

桑名 アイス饅頭「マルマン」

リニューアル前の「マルマン」

柱に記されたお店の番地。マルマンの看板文字とともに、鉄錆のエイジング塗装を施したレトロな文字にこだわったという。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

「御三家」の一角、マルマン

三重県桑名で”アイスまんじゅう御三家”といえば『寿恵広』『新栄堂』『マルマン』。その中でもマルマンは、竈でじっくりと炊いた大粒小豆を使っていることが特徴だ。地元では20個、30個の”まとめ買い”が文化。再開を聞きつけた常連が朝から涼を求めて集まる光景は、夏の桑名の風物詩そのものだ。

受け継いだ”火”——おくどさんで炊く小豆

マルマンの要はおくどさん(竈)で炊く小豆。夏場、竈まわりは40℃超になることも。圧力鍋を使えば早いが、それでもあえて火に向き合う。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

年季が入って趣のある竈

桑名 アイス饅頭「マルマン」

手間ひまをかけて炊かれる大粒の小豆

桑名 アイス饅頭「マルマン」

手づくりのため、製造数は限られる

桑名 アイス饅頭「マルマン」

マルマンの歴史を感じさせる真鍮製の金属型

「手間はかかるけれど、小豆のふっくら感も糖度の乗り方も違う。ここは前オーナーのこだわりだったので変えません」——水谷さなえさん

形まで”唯一無二”

マルマンのアイスまんじゅうは、漫画に出てくるオバケのような山型が特徴。一つ一つ形が違うのは手作りだから。裾の”ツバ”のような部分は練乳アイスで、常連は「ヘタ大きめ」の指名買いを期待するという。また、このアイスまんじゅうを求めて京都や大阪からわざわざお店に訪れるお客様もいるのだとか。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

こだわりの割り箸も健在。棒は短い割り箸を斜めに刺すスタイル。素材を厳選し1/3にカットして使うのは、凍結後に折れにくく、持ち心地とのバランスがよいから。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

アイスまんじゅうやアイスキャンディーに使われる割り箸

5種のメニュー(継承・据え置きのラインナップ)

  • アイスまんじゅう:220円(看板)
  • フルーツ:200円(ミルクキャンディーの中にみかん・バナナ・パイン)
  • コーヒー:200円
  • あずきミルク:200円
  • ミルク:200円

※お持ち帰り用:保冷バッグ(大)200円/(中)100円、保冷剤10円、ビニール袋5円。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

包みには新聞紙を使うのがマルマン流。昔ながらの知恵も丸ごと受け継ぐ。

現場は”チーム戦”に

仕込み場をのぞけば、製造中のアイスまんじゅうがずらりと並んでいる。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

アイスまんじゅうに次ぐ人気商品「フルーツ」の製造も。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

袋詰めも全て手作業だ。体制は4~5名(パート・アルバイトの方が中心)。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

「実際に運営をしてみて、旧店がご夫婦2人だけで回していたことがどれだけ大変なことだったかを実感しました。」——水谷さなえさん

  • 1日の製造本数:日によって数百本〜最大1,000本前後
  • 販売:店頭のみ(いまは発送・他販売なし)
  • 売れ行き:9:00開店→10:00頃に完売する日も

製造が追いつかず、店長が深夜まで残る日も。

店頭の看板にはマルマンのオリジナルキャラクターたち(デザイン:華街幽艶 @hmye_87 / イラスト:襟足 @urufu25)。ポップで愛嬌のあるキャラクターが、店先に立つ人々を迎えてくれる。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

「アイスまんじゅう30個もらえる?」と声をかけるお客様。 「申し訳ございません。お一人様10本まででお願いします」——スタッフの声が柔らかい。

変わらぬおいしさ

私もアイスまんじゅうを食べてみた。口に入れると、小豆が”ぷちっ”とほどけて、練乳のコクが追いかける。

甘さはきっちり、練乳のように深いコク。”二度入れ”の砂糖とおくどさんの火で作られたこだわりの大粒小豆の存在感。リニューアル前と変わらぬ味だ。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

フルーツは濃厚なミルクの中に果実がたっぷり混ざっている——このシャリシャリ感。庶民的かつ王道の味は、まさに昭和のアイスキャンディーのテイストだ。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

変えない勇気、変えたセンス

建物はそのまま、外装・内装を一新。本当は煉瓦の部分も残したかったが、老朽化で断念したという。それでも店構えには以前の面影が残りつつ、洒落た雰囲気に生まれ変わった。通りがかりの地元の人に「美容室かと思った」と言われるほどだ。けれど、レシピも道具も包装も、前オーナーの哲学を一字一句受け継ぐ。「あくまでも桑名の名物としての価値と味を守るために、変えないと決めた」——この意思が、店の隅々まで行き渡っている。

店内の壁には、七里の渡しや春日神社の鳥居、昔の桑名駅の様子、吉田初三郎式 桑名市鳥瞰図など、桑名の歴史を物語る古写真や資料が展示されている。まるで小さな郷土資料館のようだ。マルマンのアイスまんじゅうが単なる氷菓子ではなく、まちの文化や人々の記憶と結びついた存在であることが伝わってくる。新しい内装に生まれ変わった店内で「変わらないもの」を感じさせ、味わいとともに地域のストーリーを楽しませてくれる。

桑名 アイス饅頭「マルマン」

買い方のコツ(2025年8月時点)

  • 開店直後が勝負:朝9:00開店。人気のアイスまんじゅうは10時前後に完売することも
  • 本数制限あり:お一人様10本まで
  • 予約不可:当面、予約は受け付けず
  • 持ち帰りは保冷必須:保冷バッグ(大・中)と新聞紙包みを活用

桑名 アイス饅頭「マルマン」

前オーナーの橋本一実さん・満寿子さんが守ってきた味と所作を、水谷ご夫妻が引き継いだことで、地域の大切な文化が継承された。火の前で汗をかき、型に流して冷やし固める。たった千本のアイスキャンディーに情熱を傾け、”誰かの思い出の味”を作り続ける。桑名の暑い夏が帰ってきた。

店舗データ

  • 店名:マルマン(アイスまんじゅう)
  • 住所:三重県桑名市京町33番地
  • ランドマーク:桑名市博物館の東側/石取会館の向かい
  • 営業時間:9:00〜売り切れ次第終了
  • 定休日:月曜日
  • TEL:0120-55-8888
  • Instagram:@maruman_ice33
  • 価格:アイスまんじゅう220円、アイスキャンディー(フルーツ/コーヒー/あずきミルク/ミルク)各200円
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